淡く微笑んだ彼が何と言ったのか全くわからなかった。声を確かに聞こえていて、その唇が一語一語を紡ぐ様すら間近で見ているというのに。まるで鳥の囀りのように心地よい音がするりと耳を撫でて通り過ぎてゆく。急に言語が理解できなくなってしまったようだった。反応しない私を見ても彼はなお穏やかに笑っている。真知、名前を呼ばれてようやく思考どころか体の一切の動きを停止させていたことに気づく。何を言っているんですか、聞き返す言葉は自分でも滑稽なくらい震えていた。じゃあもう一度言うよ。宣誓して彼は私の手をとる。何やらひどく大切に扱うその手つきをみて何故だか少し泣きたくなった。結婚しよう、再度告がれた言葉は今度こそ間違えようもなく。幼子にかんで含めるようにただ目を見開いて固まる私の手を持ち上げると静かに口付けた。

「幸せにするなんて断言できないけど、どんな時も真知の側にいることならできると思うんだ、」

このひとはどうして恥ずかしいことを平然と言えるんだろうと全く、呆れた。顔がものすごい熱くなって視界が僅かに潤むのもきっと羞恥の所為だろう。相変わらず微笑む端正な顔は真っ直ぐ私を見つめていて反らすこともできない。何と言えばいいのかわからなくて、それよりも声帯を震わすことができなくて、他にどうすればいいのかわからなくなって私は頷いた。ただそれだけの動作で彼の顔が輝くのがわかる。ああなんて眩い。つられるようにして周りもきらきらと輝いていく気がした。もう目までおかしくなってしまったのかもしれない。私のいるこの世界がこんなに光に溢れていたことなんて知らなかった。まるで夢のよう。夢を見ているのかもしれないという考えは奪われる呼吸によって完璧に否定されたけれど。









+リク14、「由希真知プロポーズ話」です。きらきらしてきちゃったのは由希の王子様オーラということにしておいてください。ていうか短くてすいません!もうほんと書いてるとき体中がこそばゆくて仕方ありませんでした。だって何これ。由希これ何言っちゃってんのこのひと(まあ原作でもあれだけど)!誤字脱字チェックのために読み返して背筋が寒くなってきたので何も考えずにアップします。プロポーズでもこれぐらいの甘さで一杯一杯です。リクエストありがとうございました!





























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